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SF

第9地区ネタバレ感想【人種差別をテーマに主人公が愚か者でエイリアンが高潔な人物という捻れた映画】

こんにちは、としひろです。

今回は第9地区というSF映画をご紹介、ネタバレ感想を書いていきたいと思います。

名前だけは知っているけど観たこと無いって方はぜひ観てほしい。

めちゃくちゃおもしろいです。

SF映画の傑作の一つですね。

どこかでこの映画が人種差別をテーマにしている社会派な映画だと聞いたことある人もいるかもしれません。

が、実際はそんなに重くないしテンポがめちゃくちゃよくて最高なんです。

けども実に深い映画。

それが第9地区なんです。

【アマプラで視聴可能】
字幕版

吹替版

トレーラー

あらすじ(ラストまで)

始まりは1982年の南アフリカ、ヨハネスブルグだった。

上空に突如宇宙船が出現し、その船は静止したまま空中で動かなくなった。

巨大な宇宙船からはなんの応答も得られず乗員すら降りる様子はなかった。

人類は宇宙船の内部調査を行うことを決める。

船内に入った調査員が見たものは二足歩行のまるでエビによく似た大量の宇宙人だった。

宇宙船が故障して難民となったエイリアンたちは地上に移り「第9地区」という隔離地区で生活するようになったが、外見もさることながら文化などわかりあえるはずもなく、人間とエイリアンたちは頻繁にぶつかってしまう。

人間たちのエイリアンの差別が強まり、やがてエイリアンの外見から彼らを「エビ」という毒を含んだ呼び名が定着していった。

時は流れ28年後、雌雄同体で繁殖力が旺盛なエイリアンたちの数は増加し続けていて、彼らを新たな隔離地区「第10地区」へ移住させることが決まった。

エイリアンたちを隔離、監視するMNUという組織の職員であるヴィカスは立ち退き要請の同意を得るために第9地区を訪れていたが、クリストファーという地球名を持つエイリアンの家で見つけた謎の液体を浴びてしまう。

次第に液体の影響によりヴィカスの体は徐々にエイリアンの体へと変身していく。

それを知ったMNUはヴィカスを捕え人体実験を繰り返すが、隙きを突いてMNUを脱走し第9地区へと逃げ込んだ。

ヴィカスは再びクリストファーのもとを訪れ、助けを求める。

そこでクリストファーが他のエイリアンたちと違い高い知能を持ち、宇宙船を直して故郷に帰ろうとしていることを知る。

そしてヴィカスが浴びた液体は宇宙船の燃料だったことも聞かされる。

液体をMNUから取り戻せばヴィカスを元の体に戻すとクリストファーは約束し、共にMNUへ乗り込む。

無事液体を手に入れはしたがMNU内部でエイリアンが実験材料にされていることを知ったクリストファーは仲間を救うために3年待ってほしいとヴィガスに告げる。

それを許せないヴィカスはクリストファーを木の棒で殴り倒し、司令船を奪ってしまう。

しかしクーパス大佐が率いる傭兵部隊に撃墜され、ヴィカスはクリストファーと一緒に再び捕まってしまう。

MNUに護送されている途中、ヴィカスはギャングたちに拉致されてしまう。

彼らはエイリアンとの同化を目的としている集団で、ヴィカスを殺して食べようとしていた。

しかしその時、クリストファーの息子リトルCJがロボットを起動させギャング集団を倒すことに成功する。

そのままクリストファーを置いてヴィカスは逃げようとするが、考え直してクリストファーを救出し傭兵部隊との戦いに挑んだ。

ぼろぼろになりながらも大佐クーバスを含む全員を倒し、クリストファーは宇宙船に乗り込むことに成功する。

3年後に助けに戻ると約束しクリストファーは地球を去っていく。

その後ヴィカスは行方不明となってしまう。

ある日、ヴィカスの妻タニアの自宅に廃材で作った造花が置かれていた。

周りの友人はガラクタだから捨てるよう促すもタニアだけはそれがヴィカスが作ったものだとどこか確信して大切にしまうのだった。

エイリアンは増殖を続け250万を超え、移住先の第10地区では完全にエイリアンと化したヴィカスが造花を作りながらクリストファーが戻ってくるのを待ち続けるのだった。

ネタバレ感想

人種差別をテーマにした完成度の高い素晴らしい作品

公開当時、おもしろいと評判になってましたが僕はその時は興味を示しませんでした。

レンタルが開始しても観ようとも思わず、いつだったか本当になんとなくで借りてみた映画です。

正直あまりにおもしろくて震えました。

序盤のドキュメンタリー風に20年間の歴史をばばばっと見せてくれているところはB級ホラー映画にもよくある見せ方で、その時点で「あー、B級っぽいなぁ。」なんて思ったもんです。

しかし話がトントン拍子で進むしグイグイ引き込まれるんです。

これはB級なんかじゃない!S級映画だ!

テーマとしては人種差別が根底にあり、人類側が難民となってしまったエイリアンたちの外見がエビに似ているからと差別し、暴力をふるい、挙句の果てには生体実験をする始末。

普通のエイリアンものって地球に襲来した奴らに蹂躙されて、その後反撃するってのがお決まりのパターンですがそれがそもそもないというのが斬新な設定。

むしろエイリアン側が主人公っぽい。

姿かたちももはや本当にエビなんだけど(;・∀・)

で、主人公といえば最終的にはエイリアンと共闘するんですがその前までは普通に差別していたゲスな人間なんですよ。

エイリアンたちの繁殖力の高さからなのか、見た目からなのか、主人公のヴィカスはエイリアンを喋れるけど知能の低い昆虫のようなものとして扱っています。

まさに人種差別を思い起こさせる設定なんです。

けれどもそのテーマが説教臭くなく、きちんとエンタメに仕上がっているのが本当に凄いんです。

クソな主人公はそれでも妻を愛していて、クリストファーとは友情が一見芽生えていて(まあヴィカスは自分が元の体に戻れたらなんでもいいと思ってるだけかもしれんけど)、悪いギャングたちに襲われたり銃撃戦したりと、起承転結も非常にうまい!

そして終わり方もグレイトと言わざるを得ない!

ちょっと泣けます。

ドキュメンタリー風だから余計に心に強烈に刺さる

なんかそこかしこに皮肉がちりばめられている本作品。

僕はアパルトヘイトについては本当にうすーくしか知識がないのですが、おそらくアパルトヘイトに関して僕のように知識が無い方でもこの映画は衝撃をうけるはずです。

主人公は白人男性。

難民で隔離され、差別されているのがエイリアン。

彼らはたまたま地球に降り立った異星人で姿かたちはもちろん人類とは違うけど、人類より高度な知能を持つ者もいるんです。

白人様とは違うから、キャットフードを食らう姿が気味悪いから隔離しよう、差別しても許される、暴力だって国は許可する。

こんなバカな話ありますか?

そこには敬意もへったくれもなく、虫けらのように扱っていたのがアパルトヘイト。

胸クソ悪い話です。

なのでこの映画は人種差別を強烈に皮肉ってるんです。

何度も言っていますが主人公が白人で、エイリアンを虫程度にしか考えてないゲスなんです。

で本来の名前は最後まで明かされませんがクリストファーという名前を押し付けられた崇高なエイリアンがまるで少年漫画の主人公のように奮闘しているんですから。

普通の撮り方をしていたらきっとここまで強烈に心にささらなかったのではないと感じます。

やはりドキュメンタリー風にしているからこそのインパクトがあるんだと思います。

ラストについて

ラストはヴィカスとクリストファーが共闘することで目的を達成します。

その後ヴィカスは完全にエイリアンになるも知能だけは人間のままなようで造花を作って奥さんに届けたりしています。

その様子は非常に感動的なんですが、最後の最後でエイリアンたちの数は増え続けているみたいなテロップがでたもんだから、なんとも後味の悪さが残ります。

結局この映画の根底にある差別、隔離というのは解消されていないから問題は宙ぶらりんのままなんです。

これもまた原題の人種差別の皮肉なのかも。

クリストファーが約束したように3年後戻ってきたらヴィカスは本当に戻れるのか?

でもそのときにはまた国のおもちゃ(実験体)にされてしまうのでは??

いろいろ考えてしまうラストでした。

続編「第10地区」

昨年、第10地区について動きがあったとニュースがありました。

何年も前から話はあったんですがようやく進んだようです。

とりあえずは作られそうなのでどんな作品になるかワクワクしながら待ちましょう!

第9地区はアマプラで見放題作品となっています。

ビッシビシ心にくるSF映画の傑作を観たい方はアマプラに登録しましょう。

アニメも映画も本当に最近良いのが増えましたねえ。

作品情報

作品名
 第9地区

原題
 District 9

監督
 ニール・ブロムカンプ
脚本
 ニール・ブロムカンプ
 テリー・タッチェル

製作
 ピーター・ジャクソン
 キャロリン・カニンガム

製作総指揮
 ケン・カミンズ
 ビル・ブロック

キャスト
 シャールト・コプリー

音楽
 クリントン・ショーター

撮影
 トレント・オパロッチ

編集
 ジュリアン・クラーク

製作会社
 ウィングナット・フィルムズ
 QED International

配給
 トライスター ピクチャーズ
 MGM
 ワーナー・ブラザース映画/ギャガ

上映時間
 111分