今回は配信されるやいなやTwitter、インスタで話題沸騰しまくってランキング1位にもなったホラー映画「呪詛」の感想と、気になった点を考察していこうと思います。
※呪詛関連の動画をいくつか作っているのでこちらもぜひチェックしてみてくださいね!
POVホラーというジャンル作品で、有名なのはちょっと古いけどブレア・ウィッチ・プロジェクトとかREC、クローバーフィールドの1もそうですね。
呪詛はもうとにかく雰囲気がありすぎます。
気色悪さと胸糞悪さ、呪いという気味の悪いものが自分だけじゃなく周りにも影響を与えるという理不尽さ。
アメリカ映画のようにストレートに化物がでてくるわけじゃないのがまた嫌な感じでした。
相手は神であり邪神であり像なので会話することもできないし戦うこともできないんです。
呪いというのが如何に凶悪で理不尽なのもかをこれでもかと観てるものに訴えかけたのがこの作品。
見たものを死に追いやる呪いといえば「リング」が有名ですが、POVというのもあり個人的には「リング」よりも数倍怖かったし気持ち悪かったです。
でもホラー映画耐性がある人は問題なく楽しめると思うし、この映画のクオリティーの高さに驚くと思います。
ホラー映画耐性がない人はひたすら怖がって終わりかもしれませんが、考察していくと実に深い設定が盛り込まれていることに驚きを隠せません。
というわけで台湾産のPOVホラー「呪詛」をネタバレありで感想、考察していこうと思います!
この記事はこんな方におすすめです。
・呪詛を観た方
・呪詛の細かい設定が気になってる方
・大黒仏母について考察を読みたい方
①映画歴25年くらい
②ホラー映画は30歳頃から好きになった
③グロいの平気
④好きなホラー映画はキャビン、MAMA、呪詛
⑤つまんないと思ったのはパラノーマル・アクティビティ
⑥13日の金曜日で爆笑する
⑦人生の3本はインターステラー、コマンドー、セッション
⑧仕事は多摩市で鍼灸師
⑨経営13年目で法人一期目の社長
⑩Twitterでおすすめ映画紹介したりしてます。
- 呪詛あらすじ
- 呪詛の評価とネタバレ感想
- ネットの評価・評判
- 時系列整理(ネタバレあり)
- 呪詛考察
- 大黒仏母とはいったいなんなのか
- 呪いの強さ
- 符号と呪文の真の意味
- 広間のカエル
- 村の巫女
- 大きな業障とは
- なぜドゥオドゥオに本当の名前を教えたのか
- 地下道から聞こえた子供の声
- なぜ6年前ルオナンは流産しなかったのか
- なぜルオナンは6年前に死ななかった?
- なぜ村の外でも呪いが発動したのか
- 体に経文を書いた意味とは
- チェン氏宗族の手ぶり(サイン)の持つ意味は?
- ヤギの意味
- 巫女の少女はなぜ病院近くで倒れていたのか
- 6年前はお供物がなぜ一つずつずれていたのか、そしてなぜ最後はお供物を正しい位置に置いたのか
- 地下道の鏡を割った意味は?(7月20日追記)
- 「ママはもう怖くないよ」の意味
- 私達の意思が世界を作っている
- 最後のドゥオドゥオのセリフ「お城」の意味
- 名前とは祈りを言語化したもの
- なぜ大黒仏母は名前を欲しがるのか
- まとめ
- おまけ:ブリーフマンたちの謎
呪詛あらすじ
6年前、恋人アードンとその親族であるアーユエンと3人でアードンの祖父の村へ3人で訪れたルオナン。
祖父の村ではとある神を崇拝しており、絶対に入ってはいけない領域があった。
ルオナンたちは動画を取るために面白半分で禁忌を破り呪いを受けてしまう。
6年後、出産し大きく成長した娘と共に暮らし始めるルオナン。
呪いは自分ではなく娘に影響を与え始める。
ルオナンは娘を助けるために行動を起こすが…。
呪詛の評価とネタバレ感想
10点満点中8点!
なかなかの良作です。いや、傑作です!
※2023年11月末に呪詛の元ネタの実際にあった事件についての記事を書きました。ぜひこちらもご覧ください。
最初にも書きましたがPOVというのが臨場感を凄い強烈にだしているし、リアルさ、気色悪さも普通のホラーの比ではありませんでした。
ところどころ集合体恐怖症「トライポフォビア」の人は見たくない映像も混じっています。
同じような呪いの映画と言えば「リング」がありますが、個人的にはリングよりも全然怖かったですね。
アメリカンホラーのようにびっくりさせる演出もあり、和製ホラーのように不気味な演出もあり。
なによりもルオナンがビデオカメラで視聴者になにを伝えようとしているが最後になってようやくわかるんですが、この自撮り撮影の意味を理解させるための映像の繋ぎ方が絶妙にうまい。
時系列がごちゃごちゃなのも納得。
ストーリーに関しては簡単に言えばおもしろおかしく禁忌を破ったお馬鹿な3人に呪いが降り掛かった、それだけの話なんです。
ただその呪いが強烈で、関わった人全員、両親や我が子にまで向いてしまうのはあまりにもエグい…。
呪うのは本人だけでいいじゃない!ってもし自分がルオナンだったらそう思うし、子供を守るために起こした行動も全て理解できます。
子供を持つ親なら誰だって子供に元気に、楽しく生きてほしいんです。
だからどうあっても戦うことのできない、抗うことのできない「呪い」の理不尽さが腹立たしいしムカつくし悔しいという感情まで起こさせるこの作品は、感情移入という点においては最高でした。
そして禁忌を犯してしまったルオナンはきっと自分が一番許せない。
だからこそ呪いを拡散させるだけじゃなく自分自身の命まで犠牲にしたのではないかなと考えました。
これがアメリカンなホラーなら大黒仏母はおぞましい怪物で、ルオナンがリプリーばりに完全武装であの地下にいる仏像を木っ端微塵にして呪いを粉砕したであろうことは間違いないだろうなと…。
西洋のホラーはわかりやすくてある意味すがすがしいんですがこの映画は東洋のある種神秘的な怖さが全面に出ていて、清々しさよりも粘着質で禍々しいんです。
この映画の一番泣けたシーンは娘のドゥオドゥオが「前は怪物が怖かったから私を捨てたの?」と聞いたところでしたね。
私を捨てたの?なんて子供に言われたら親としてはまじで胸をぐさっ!と刺されたような衝撃と痛みを受けるでしょう(T_T)
ちなみに台湾ホラーをはじめとするアジアのホラー映画って親子愛、家族愛をテーマにしたものも多いです。
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ネットの評価・評判
Twitterでもインスタでも「怖かった!」「めちゃくちゃおもしろかった!」「見ごたえがあって最高!」「誰か一緒にトイレ行ってくれませんか?」
みたいなのが多いです。
#呪詛
ネトフリにて鑑賞
対抗不可能…圧倒的祟り…
序盤の怪奇現象パートは部屋の間取りの怖さも合いまってギャンこわ。
半開きの窓とか扉映りこむの超不安やめろ。
グロさもキモさも胸糞悪さもまんべんなく網羅するストロングスタイルの恐怖映画…
虫キモい。
ホーホッシオンイー シンセーウーマー… pic.twitter.com/xEplzyezE6— F-SPZP (@HwkPckCdr) July 12, 2022
#台湾映画 #呪詛(咒 incantation)自分目線でお化け屋敷を回るようなカメラワークで恐怖が増し、途中からグロさで吐きたくなる。
本名を捧げたら終わりという設定、台湾ではフルネームを知られると取り憑かれやすいとの言い伝えがあり、肝試し・夜中などでは本名を呼ぶなと言われていたのを思い出す。 pic.twitter.com/YilXsAMTbG— Rui / 台湾ロス (@ruiruiyu) July 16, 2022
『#呪詛』観た。
モキュメンタリーやファウンド・フッテージ、Jホラーへのリスペクトなど様々なホラー要素を詰め込み、そのすべてをタイトルに帰す構成の巧さが光る。
話題にあるような恐怖心は抱かなかったが、画面をガン見していたらシンボルマークが残像として目に焼き付いたのが一番怖かった。 pic.twitter.com/ZcPBgEVFlF— レク@めーぶれ(映画トーク配信番組) (@m_o_v_i_e_) July 13, 2022
というわけで「呪詛」は非常にクオリティーが高く、恐ろしく、とてつもなく胸糞悪く、気色悪い、そんな映画でした。
ではここから考察をしていきます。
ネタバレ有りなのでまだ観ていない方でネタバレされたくないという方はご遠慮ください。
ではどうぞ!
時系列整理(ネタバレあり)
僕の推測で時系列を整理してみます。
正しいかどうかはわかりませんので参考程度に。
もしここは違うんじゃない?というのがあればコメントいただければ嬉しいです。
①6年前、ルオナンとアードンとアーユエンの3人でアードンの祖父の村へ行き、禁忌を破り呪いを受ける。このとき既に妊娠中。
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②約8ヶ月後、臨月のときに呪文と符号の意味を聞きに和尚の元へ。このとき和尚の話を実際に聞いたのはルオナンだけ。
↓
③約1ヶ月後、ドゥオドゥオ(チェン・ラートン)出産。直後に呪いを恐れて施設へ送る。
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④呪いを確認するため?に両親にビデオを見せたところ交通事故にあい死亡。警察へ拾い物だと話し、ビデオカメラを預けるが映像確認したせいで警察官2人が自殺。
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⑤精神科へ治療に通う。
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⑥呪いを受けてから6年後、ドゥオドゥオを引き取る決意が固まる。ドゥオドゥオを受け入れる準備をする。保護施設の担当者が家に来て「審査を通らないと親権はもらえない」と助言を言う。
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⑦担当者とルオナンを引き取りに行く。チーミンとはここで初対面
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⑧チーミンにインタビュー。里親になぜなったのかを聞く。父親になる気持ちを知りたかったと回答。
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⑨ドゥオドゥオとの新生活が始まる。本当の名前を教える。
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⑩直後に呪いが発動し怪現象が起こるようになる。
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⑪ドゥオドゥオが幼稚園で騒ぎを起こす。顔なしの悪者がいると言う。
↓
⑫ドゥオドゥオが幼稚園でかくれんぼしている最中、謎の数本の手がドゥオドゥオに向かっている映像が撮影される。
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⑬不動産の男と以前一人で住んでいた部屋を売りに出す話をしていたときにドゥオドゥオが屋上にある小屋の中でアーユエンが撮った地下道の映像をビデオカメラで観る。小屋の中には仏母の呪いを打ち消すために(?)集めた仏像が何体もあった。
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⑭直後ドゥオドゥオが意識を失い半身不随になる。
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⑮担当者のシア(おばさん)がドゥオドゥオの名前入りのお守りを買ってくる。シアは呪いを受けて自殺する。ルオナンは両親の件もあり余計なことをするなと怒っていた。
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⑯チーミンが保護施設へルオナンは親としては不適格であると通報する。
↓
⑰入院中のドゥオドゥオをルオナンが勝手に連れ出す。
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⑱警察とチーミンら保護施設の担当者がルオナンの家に行き、チーミンはルオナンとドゥオドゥオと共に行動する。
↓
⑲ルオナンの担当医、精神科医のウーが首吊り自殺をし、病院は原因不明の爆発事故を起こす。
↓
⑳ルオナン、チーミンはドゥオドゥオの呪いを解くためにアーチン師匠の元へ行く。ビデオカメラも封じてもらうが、ドゥオドゥオに7日の絶食をしろと言われ呪いを解くことは不可能とルオナンは考える。
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㉑チーミンがビデオカメラを持ち帰る。
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㉒3日は絶食させることができたがドゥオドゥオの体力とルオナンの精神力は限界を迎え、ついにパイン缶を食べさせる。師匠に呪いが降りかかる。
↓
㉓チーミンはビデオカメラの破損した映像を復元しようとするが呪いがかかり、歯が抜けるなど徐々に影響がではじめる。
↓
㉔約6年前にルオナンが訪れたお寺にチーミンが行き、呪文や符号の意味を聞く。
↓
㉕ホテルでチーミンは呪いにより自殺。
↓
㉖呪いに関わった者がほとんど死んでしまったためドゥオドゥオへの呪いが強くなる。
↓
㉗ドゥオドゥオの胃の中の物を全て吐き出させアーチン師匠の元へ向かうが夫婦ともに既に呪いにより死亡。ドゥオドゥオが天井から落とされる。
↓
㉘病院でドゥオドゥオの緊急治療。その時ルオナンは呪文を唱え続ける。
↓
㉙ルオナンが地下道の映像を観始めると同時に半身不随のはずのドゥオドゥオが誰かと手を繋いでるように歩き、経文が全身に書かれた村の少女を病院近くで発見する。
↓
㉚ルオナンは娘のために世界に向けて呪いを拡散する覚悟を決める。入院している少女の片方の耳を切り取り持ち帰る。
↓
㉛ドゥオドゥオの洋服など荷物や飼いたがっていた犬を保護施設に預ける。
↓
㉜廃村となった村へ行き地下道のお供物を正しい位置に戻したり鏡を割ったりして、最後にライブ配信で大黒仏母の像の顔をカメラに収める。自身は呪いにより顔面を破壊し自殺。ライブ映像で仏母の顔を見た視聴者の悲鳴が響き渡る。
↓
㉝回復したドゥオドゥオが「お城が遠い」「バスがない」「お城は泡となって消えた」など意味のわからないことを笑顔で話す。(END)
但しラストについては時系列不明。個人的には回復したあとの姿だと思いたい。
呪詛考察
ではここからネタバレありで個人的に疑問に思ったことや観た人が「これどういうこと?」と疑問に思ったであろうシーンを勝手に考察していこうと思います。
大黒仏母とはいったいなんなのか
大黒仏母は人々に害を与える邪神であり、供物を与えないと村人(アードンの祖先の人たち)に呪いを掛けていました。
当時は像は地下道ではなく外にあったようですが子供の体の一部を供え物として出すことに限界を迎え、当時の村人たちは仏母の像の顔を布で隠し、地下道に封印しました。
これについてはこちらのnoteが大変参考になりましたのでご紹介させていただきます。
興味ある方はどうぞ。
呪いの強さ
この大黒仏母の呪いは知れば知るほど強さを増していきます。
真相に近づけば近づくほど凶悪な呪いと化します。
ルオナンの両親はビデオの映像を観ただけで事故死、警察官は拳銃自殺をしてしまいます。
そしてルオナンは仏母の像に近づいただけで体中から出血する凄まじい呪いです。
「リング」と同じように映像を観ただけで死へ誘うわけですが、この仏母の呪いの恐ろしさは子々孫々まで呪いをかけ続けるところにあります。
符号と呪文の真の意味
映画の序盤でルオナンは視聴者に符号を見せます。
そして呪文「ホーホッシオンイーシーセンウーマ」
これは「禍福い伏(いはにんべんに奇) 死生有命」がなまった言葉。
真の意味は「自らの名前を捧げて共に呪いを受ける」というもの。
符号は「仏母の呪いを分ける」意味がありました。
つまり映画のラスト直前までは幸福が訪れるために呪文を唱えよう!なんて言っていましたが実際は「私も名前を差し出しあなた(仏母)の呪いを受けます。」と言っていることになります。
呪いは受ける人が多ければ多いほど力は弱まるので娘の呪いを最大限弱めるために視聴者を騙したというわけです。
広間のカエル
ルオナンが村の巫女に案内された広間で缶に入れられていたカエル。
髪の毛を与えるとパクパク食べていました。
このカエルは蟲毒に似た物と考えられます。
蟲毒とはその昔、中国において用いられた強力な呪術です。
サソリ、ヘビ、カエル、クモなど様々な生き物を100匹、同じよう木の中に入れ、喰わせ合いをさせます。
最後に残った1匹が蟲(むし)となり、これを使うことで標的を不幸にします。
作中ではカエルは数匹いたので純粋な蟲毒とは違うのかもしれません。
呪詛においてこのカエルは仏母の触媒であり、髪を食べさせたルオナンは仏母の加護を受けたのだと考えられます。
村の巫女
村の巫女は大黒仏母に認められた存在であり、唯一仏母と交信ができる存在だったと考えられます。
日本語訳では巫女となりますが憑依などされたりすることもあるのでシャーマン、祈祷師という方がニュアンスとしては正しいかもしれません。
また仏母は巫女に初潮を迎えていない女の子を選ぶようです。
大きな業障とは
※2023年6月修正
アードンの村の人々は大きな業障を背負っているとルオナンは語っていました。
大きな業障とは村の先祖が犯した罪のことで、大黒仏母を封印し呪いを他人に拡散共有させる邪法を使ったことを言います。
ルオナンはアードンの村が業障を受け継いでいると話していましたが、正確に言えば邪神の封印を受け継いでいるということですね。
邪神を村で封じ込めを行うことを選んだ悲劇(自業自得とも言える)の村がアードンの祖父の村。
ちなみに業障とは仏教用語で三障の一つで悪業によって生じた障害のことを言います。
悪業とは五逆十悪の事。
①父を殺すこと
②母を殺すこと
③悟りを開いた聖者を殺すこと
④僧の和合を破る(宗教団体を破壊分裂させること)
⑤仏身を傷つけることの5つを言います。
①殺生(生きるものを殺すこと)
②偸盗(人のものを盗むこと)
③邪淫(簡単に言えば不倫)
④妄語(嘘をつくこと)
⑤綺語(うわついて誠実さのない言葉を言うこと)
⑥悪口(悪口を言うこと)
⑦両舌(二枚舌)
⑧貪欲(欲深いこと)
⑨瞋恚(しんいと読む。怒ること)
⑩邪見(不正な心。よこしまな見方、考え方)
なぜドゥオドゥオに本当の名前を教えたのか
ドゥオドゥオと呼ばれているかわいい娘。
しかし本当の名前はチェン・ラートン。
なぜドゥオドゥオかと言うと既に本当の名前は大黒仏母に供えられたからもう使うことはできなかったわけです。
なのにルオナンはなぜ教えたのでしょうか。
引き取る前に両親、警察官が呪いで死んでいるのだから本当の名前を教えるリスクはわかっていたはず。
考えられることは①自分は名前を捧げたのに呪いをほとんど受けていなかったから娘にも教えて大丈夫だと考えた②村でのみ使えないという話だったから教えても大丈夫だと考えた。
この2つのどちらかだと思いますが、ここに関しては正直確信できる部分がないので推測ではあります。
本当の名前を知っていて欲しいという親の願いもあったのではないかと思います。
地下道から聞こえた子供の声
封印された地下道の入り口を破壊した後、子供の泣き声のようなものが聞こえました。
この声は大黒仏母に供えられ、犠牲となった子供の声と考えられます。
ラストにこんな言葉がでてきます。
割取小孩身上的肉
これは直訳すると子供の肉を切り落とすという意味になり、大黒仏母が子供の肉を好む神であることがわかります。
地下道には子供の歯や髪があることから子供らの怨念がこもっていたのかもしれません。
なぜ6年前ルオナンは流産しなかったのか
聖域を荒らし、男二人は呪いにより死。
ルオナンも下腹部から大量出血しましたが、流産もせず元気な女の子を出産します。
この出血は呪いと考えることもできますが精神的なショックで起きた事とも考えられます。
あの時、巫女の少女がカメに入った水を飲ませたことで助かったのだと推測できます。
またこの水は蟲毒の効能を持った水であり、飲んだことでまだお腹の中にいるドゥオドゥオも仏母の加護と呪いを宿したと考えることもできます。
なぜルオナンは6年前に死ななかった?
ルオナンが6年前に一人だけなぜ呪いで死ななかったのか。
これには2つの理由があると考えます。
ひとつ、巫女の少女に1人連れられて広間のようなところに行き、缶の中にいたカエルに髪(体の一部)を食べさせた(捧げた)ことで呪いを緩和、仏母の加護を受けることができたから。
もうひとつは妊娠していたから。
どちらかというと妊娠していたことの方が理由としては強いような気がします。
仏母はお腹にいるドゥオドゥオをとても喜んでいると長老のお婆(少女だったかな?)が言っていました。
仏母は子供の体の一部を供えることを喜びます。
村の少女は髪や耳を供えられていました。
またラストシーンではいくつもの歯が供え物として出されていました。
つまり仏母にとってドゥオドゥオが村の少女と同じくらい供物として素晴らしいものだということです。
ルオナンを呪い殺してしまったらドゥオドゥオを食べる(?)ことができませんからね。
そういう理由でルオナンは大した呪いももらわなかったのではないかと推測します。
もうひとつ、呪いを撒き散らすために生かされていたという線も捨てきれません。
あくまでも結果論ではありますが親や他人にビデオを見せたりして呪いを拡大させていますからね。
なぜ村の外でも呪いが発動したのか
これはアーユエンが結界を解いてしまったからというのが一番可能性高そうです。
体に経文を書いた意味とは
村の少女、そしてルオナンは体中に経文を書いていました。
これはまったくの推測ですが経文を体中に書くことにより呪いを軽減できたのではないかと思われます。
体中に経文っていうと耳なし芳一が有名ですよね。
あれは経文を体に書くことにより怨霊が芳一の姿を見つけられなくなる効果があったんです。
耳なし芳一の場合は耳だけ経文が書いてなかったので耳をむしり取られました。(その後怪我は治り、芳一は有名になり幸せに暮らすことができた)
さて、呪詛の場合はどうかというと似たような印象を持ちます。
少女は邪神に選ばれ耳を持っていかれてしまいます。
村人もできるだけ被害を少なくしたいしなんとかしたいと思っているんですよね。
だからこそ仏母を地下道に封印しているし、ルオナンに早く帰れと言うし、村に入れさせたくなかったんです。
なので経文は村人が少女を守るためであり、ルオナンが自分自身を守り村の地下道まで安全に行けるように書いたと考えるのが僕の考えです。
チェン氏宗族の手ぶり(サイン)の持つ意味は?
八方天の手ぶりを裏返しにしたオリジナルのもののようです。
八方天の手ぶりの意味は幸福と功徳を広めること。
呪詛にでてくるチェン氏宗族の手ぶりはそれを裏返しにしているので広めるのは幸福ではなく呪いと恨みといったところでしょうか。
ヤギの意味
ヤギは実はこの作品によくでています。
供物として出されていたり、少女がルオナンを連れていった部屋の天井の絵にも書かれていたり、それから呪文の意味を教えてくれたお寺の部屋の入り口にも双頭のヤギと思われる像があったりします。
ヤギには食材ならぬ贖罪の意味もあります。
大黒仏母に「私達は罪をあがないます、償います」と伝えているというふうにも取れます。
チーミンがお寺に行ったときに部屋入り口の上に双頭のヤギがいたように見えましたがあれは…なんでしょう??
わかる方いたら教えて下さい。
巫女の少女はなぜ病院近くで倒れていたのか
ルオナンが決意を胸に村に再び訪れたとき、立入禁止のテープが貼られ、村人は既にいない状態でした。
もちろん封印も解かれたまま。
少女は発見されたとき体中に経文が書かれていました。
つまり村人はどこか他のところで仏母を崇拝し、生贄、供え物をしつつ呪いをコントロールしていたのではないか?
もしくは少女以外全員死んでしまい少女だけが村かどこかでひっそりと生きていたと考えられます。
少女は顔もきれいな状態で肌にも異常は見られませんでした。
で、少女が病院の外で倒れていた理由ですが、パンツ一丁(言い方が酷くて申し訳ない)で倒れていたことから自身の意志で病院へ向かったとは考えにくいです。
ドゥオドゥオが少女を発見したときのように大黒仏母に病院の近く(ドゥオドゥオの近く?)まで連れて行かれた可能性が高いのではないかと考えます。
このタイミングで現れたのはルオナンがドゥオドゥオに本当の名前を伝えたというのと関係がありそうですね。
※2023年6月追記
巫女の代替わりをするために少女をドゥオドゥオの近くまで連れて行ったという説が有力です。(監督がインタビューで答えてたらしいです。)
そうすることでルオナンが必ず仏母のところに戻ってくる、そして封印を解く行動を起こすと仏母は考えていたそうです。
※監督のインスタみると撮影風景が観れたりします。
ドゥオドゥオが一人で外に出ていった時、なにかと手を繋いでいたようにしていますが、これ実際に人と手を繋いでいたんですよ!
6年前はお供物がなぜ一つずつずれていたのか、そしてなぜ最後はお供物を正しい位置に置いたのか
※2023年6月追記
ようやくわかったので追記します。
大黒仏母は「凝視」することで呪いが発動します。
お供え物の周りに合わせ鏡をすることで大黒仏母の視線を誘導し、ひとつずらすことでそれを探させるようにしていたのではないかと推測できます。
ラストに正しい位置に置いたのは、私は大黒仏母へ祈りを捧げています、あなたへ服従していますという意思を伝えていたのではないでしょうか。
それによりルオナン自身にかかる呪いを軽減させようとしていたのかもしれません。
結果的には仏母の呪いが強力すぎて意味がなかったわけですが…。
地下道の鏡を割った意味は?(7月20日追記)
ここもわからなかったので、分かり次第追記しようと思います。
※7月20日追記
地下道の意味を解説してくれた方がTwitterにいらっしゃいました!
ちなみに洞窟のなかの描写は
“対になる体の一部(耳など)を霊魂に捧げ、その周囲を合わせ鏡にすることで、もう一方を探そうとする霊魂をその空間に閉じ込める”
という台湾で知られる封印の方法が元ネタのようです。
つまり主人公は明確な意志を持って仏母の呪いを自由にしてあげたんですね😊#呪詛 pic.twitter.com/GgjWy9ghWl— だるま (@DARUMA_film) July 13, 2022
供物がひとつだけずれていた理由はわかりませんが、鏡の意味はわかりましたね。
台湾では有名な怨霊とかそういう類の封印方法のようです。
大黒仏母は人に呪いをかける邪神で結界の中に封じ込めていたからまだこれだけの被害であり、呪われた人もとても少なかった。
鏡を割って完全に封印を解いたことで仏母の呪いがまさに自由になったわけです。
それはつまり呪いのシェアをさらに加速させるということなのでしょうか。
呪いを分かち合えば被害はごくわずかという話でしたから、ルオナンがそう考えたのならこの行動にも納得がいきます。
「ママはもう怖くないよ」の意味
ラスト間近でルオナンは「ママはもう怖くないよ」というセリフを言い、そのあとに決意を秘めた表情をしています。
これは邪神大黒仏母が怖くない、呪いを受け止めることに恐怖がなくなったという意味もあるんだと思いますが、関係のない人々に呪いを広めること、そのおぞましい自身の行動を起こすことに恐怖心はなくなったという意味のほうが強そうだと感じました。
娘一人を助けるためにまったく関係ない人々を巻き込むわけだから怖くないわけ無いですよね。
でもラストはその迷いも全て消え去ったと考えられます。
まあ決意というより悪意に満ちた表情と言ったほうが正しいかもしれませんね。
私達の意思が世界を作っている
とても素晴らしい言葉です。
雨が降れば嫌だなぁと思うのか、それとも今日は家でのんびりNetflixみまくっちゃおう!!って楽しく考えるのかではその日の楽しさがまるで違ってきますよね。
まあこの作品の言葉はまったくポジティブなものではなく、私が撮ったこの動画(映画)を見てあなたは呪いを認識したはず。
意思が世界を作る=思ったこと、感じたことは本物になる=呪いは本物となる
というメッセージが込められていたわけです。
最後のドゥオドゥオのセリフ「お城」の意味
ラストシーンにドゥオドゥオは元気な姿を見せています。
ニコニコ楽しそうに話しているんですが、「お城が遠いしバスはないしお城は泡になって消えちゃった」、とかめちゃくちゃなこと言っています。
これは僕はお城=村(地下道)のことを言っているのではないかと考えます。
情報量が少なすぎて真意はわかりませんが、このときの映像をよーく観てみるとドゥオドゥオの頭の方になにか黒い影が…。
気になった方は確認してみてくださいね!(((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル)
名前とは祈りを言語化したもの
呪文には「自らの名前を差し出し、共に呪いを受ける」という意味があります。
村では差し出した名前は使えないし考えることも許されないと長老は言っています。
この「呪詛」という映画の根幹である「祈りと名前」について最後に考察してみます。
大黒仏母は名前を欲し相手を支配したい、呪いを巻き散らす邪神。
名前とは親の祈りそのものです。
ルオナンはドゥオドゥオに対してラストメッセージで元気に生きてほしい、楽しいことをいっぱいしてほしいと願いを口にしています。
親が子供に与える名前は非常に強い祈りなんです。
名前を付けることを命名と言います。
名に命を吹き込むこと。
つまり名前とは強いプラスのエネルギーを持つ祈りの塊のようなものというわけです。
なぜ大黒仏母は名前を欲しがるのか
ではそんな「名前」を大黒仏母はなぜ欲しがり、思い浮かべたり考えただけで呪いを与えるのでしょうか。
それは大黒仏母の姿かたちにヒントがあります。
大黒仏母の村の天井絵に描かれていた姿は手が複数本あり、手には仏(釈迦?)の顔を持っていました。
このモデルとされているのが鬼子母神と言われています。
鬼子母神は500人とか1000人の子供を持つ母親で、子供を育てるために栄養をつける必要があり、その栄養を人間の子供を食って摂っていたとされています。
ある時、お釈迦様がその行いを改めさせるべく鬼子母神の末っ子を隠してしまいます。
鬼子母神は7日間世界中を探し回るも子供は見つからず嘆き悲しんだそうです。
そこにお釈迦様が現れ、一人の子を連れ去られた親の苦しさがわかるか。わかったのであればもう悪行はやめて改心しなさい。と言い、鬼子母神は心を改め、仏法の守護神、そして子供と安産の守り神になったと言われています。
で、話は戻りますが大黒仏母は鬼子母神がモデルと言われているのですが、大黒仏母は片手に吉祥果やザクロではなく、切り落としたお釈迦様の首を持っています。
これめちゃくちゃ怖い設定ですよ…。
この絵から考えるに大黒仏母はお釈迦様(または仏)になにかしらで説法を説かれたのでしょうが、改心なんてせず、逆恨みをして首を切り落としたのだと思われます。
大黒仏母が鬼子母神と同じような悪行を行う悪鬼だと考えると、時系列的には
①大黒仏母は自らのためだけに栄養(?)が欲しい⇒②栄養はいくらあっても問題ないから多くの人間を呪い殺す⇒③邪神として恐れられる⇒④釈迦に説教されるが改心せずに首を切り落とす⇒⓹当時の人々が呪いを鎮めるために生贄(子供や子供の体の一部)を捧げるようになる⇒⑥供物を与えることができなくなり大黒仏母をコントロールできないので信者たちは自らの名前(祈りの言語化)を差し出すことで呪いの力をシェアさせることにする(邪法)⇒⑦村人が業を背負う覚悟を決め、地下道へ封印する。
つまり自分の名前を差し出すことは祈りや信仰を放棄することを意味しているのではないかと考えられます。
人間に恨みがあるのではなく釈迦に対する恨みが強すぎる邪神。
それが大黒仏母であり、名前を差し出させる理由なのではないかと。
※2023年6月追記
大黒仏母が名前を欲しがる理由は相手を操りたい、支配したいという欲望があるからという説もあります。
アジアだけじゃなく欧米の悪魔系映画でも祈祷師や悪魔祓いが悪魔の名前を聞くのは操るためと言います。
このことから大黒仏母は名前を捧げさせることで人間を支配しようとする神であることが分かります。
まとめ
というわけでいろいろ考察をしてみました。
そんなに深い考察ではないのですが少しでも参考になってもらえたら嬉しいです!
で、ここはこういう意味では?とか新しい解釈があればぜひコメント、Twitterで教えてくれたらもっともっと嬉しいです!
どうやら続編の可能性もあるとのことでもしかしたら全ての謎はそこで暴かれるのかもしれません。
それにしても今回の呪詛の盛り上がりは新しい波を起こしそうですね。
今回こうやって考察書いてるのも結構楽しかったので、また考察しがいがある映画ならこうやっていろいろ書いてみたいと思います。
ではまた!!
おまけ:ブリーフマンたちの謎
アーユエンが呪いにより葉がぼろぼろと抜けてしまったあと、村でブリーフマンたちが突っ立っていましたがあれの意味は一体…。
もはやギャグにしか見えなくて困っています(爆)
詳しい方教えて下さい汗
※2023年6月追記
ようやくブリーフマンの謎がわかりました。
聖域を荒らしたバカ3人のせいで大黒仏母は大激怒。
なんとか仏母の怒りを鎮めるために村人全員で経文を全身に大急ぎで書き、全員で呪文を一心不乱に唱えていたということが考えられます。
またアードン(夫)はなぜ燃やされていたかというと、おそらく生贄のような形で仏母の怒りを鎮めようとしたのではないかと考えられます。