今回ご紹介するのはNetflix映画『粽邪3(縄の呪い3)』です!
※動画版も作りましたのでこちらもぜひご覧ください!!
前作ではタイから来た恐ろしい悪鬼を倒したが、なんとヤツがよみがえった!?
前作2の数年後の話になっていて、2を観た方はより楽しめる内容となっています。
以前に2の感想記事も書いていますので2が気になる方はぜひこちらの記事もご覧ください。
今回の記事はまず紹介(作品情報、あらすじ、見どころ)、次に感想、最後に今作をもっと楽しむための用語解説という3段構成でいきます!
ぜひ最後までお付き合いください!
粽邪3(縄の呪い3)作品情報
監督 リャオ・シー・ハン
主演 チャン・ティンフ
ウィルソン・スー
上映時間 109分
公開 Netflixオリジナル映画(2023年末)
主演のチャンは以前に配信された台湾ホラーコメディの怪奇温泉旅館という作品の主演でもあります。
あのころより少しやせた感じ。
パルクールのせいでしょうかね。
精悍な顔つきになっていてかっこよかったです!
粽送3(縄の呪い3)あらすじ
本作の主人公は道士の一家に生まれた青年グアンユー。
グアンユーは道士としての父を幼いころから見てきて尊敬もしていたが、自分は道士よりもパルクールのインフルエンサーになることを夢見ていた。
パルクールの練習を重ね、アルバイトで少しずつ金を貯めていく毎日。
そんなある日、グアンユーは友人のバイトの手伝いで不気味なホテルを訪れる。
そこで次々と起こる怪奇現象に襲われ、やがて犠牲者が一人また一人と増えていく。
粽邪3(縄の呪い3)の3つの見どころ!超重要ワード『粽送り』と『鍾馗』、そして『鬼月』とは?
この作品の見どころは以下の3つ!
・台湾の風習『粽送り』
・対妖魔最強の神様『鍾馗』
・道士たちが恐れる『鬼月』
これですね。
粽邪(縄の呪い)は台湾の風習が色濃く描かれています。
それが何なのか、何も知らなくてもなんとなくおもしろくはあるんですけど、この作品をより深く楽しむためにはやはり台湾の風習・文化は多少なり知っておいた方が良いです。
その方が絶対おもしろく観れます!
この3つはこのシリーズの肝でもあるので、これからこの映画を観ようと思ってる方はとりあえずこの3つの言葉を理解しておきましょう。
そうすると『粽邪:縄の呪い』をもっと楽しめるようになりますよ。
粽送りと鍾馗様については以前の2の解説記事でも書いたんですが、改めて詳しく解説していきます!
粽送り
送肉粽(ちまき送り)は実際に古くから台湾にある風習で、首つり自殺をした人が出た場合、その人の魂が怨霊になるのを防ぐために行う儀式です。
あ、ガチな話ですよ。
映画設定ではなく本当にこの儀式はあります。
儀式を行うことでその魂はこの世にとどまらずきちんとあの世へ行けるようになると言われています。
儀式にはいくつかタブー、そして決まり事があります。
・儀式の時間は外出してはならない
・儀式の行列に遭遇した際には、行列に加わり最後まで参加する
・儀式の最中は名前を呼んではいけない
・儀式の最中は振り向いてはいけない
・儀式の後は呪符を浸した水(符水)で体をふくこと
これらの約束事は儀式の参加者や他の人々を不運や不幸から守るためのものとなっています。
鍾馗様
さっきも言いましたけど鐘馗様は台湾ホラーにおける最強のカードです。
ワンパンマンのさいたま、オバロのアインズ、ヘルシングのアーカードみたいな、もう出てきたら絶対勝つって感じの神様です。
名前だすだけで妖魔を倒せるとかマジ水戸黄門。
詳しい解説をしますと、鍾馗は唐の時代の伝説上の人物であり中国の道教系の神様です。
すみません、最初に謝らせてください。
2の解説記事で科挙にトップ合格したって書いてたんですけど、どうも間違っていたようです。
とても優秀でトップクラスの成績を収めてはいたけど合格はしなかったというのが正解のようです。
鐘馗はもともと高級官吏(かんり:偉い役人のことです)になりたくて猛勉強しててスゴイ優秀だったんですが、なぜか試験に受かることはなかったんですね。
なぜかというと、この人の顔がとんでもなく怖かったからなんですね。
頭の良さ以上に凄いのが顔面ってどんだけスゴイ顔してたんだよ…。
唐の顔面凶器と言えば鍾馗ってなぐらい、めちゃくちゃおっかないお顔をしていらしたとも言われています。
しかも髭面の大男でダブル役満。
皇帝が怖がってしまったという理由で生涯合格できることはなく、鐘馗は夢を奪われ絶望し、自殺してしまいます。
憤死したとも言われています。
その後、皇帝により手厚く葬られた鍾馗なんですが、6代皇帝の玄宗がマラリアにかかり夢で悪魔に悩まされているときに夢に現れ、小鬼を捕まえて食べる姿を見せたそうです。
翌朝、皇帝の病は治っていたということから、魔除け、疾病(えきびょう)除けの神様として信仰されるようになりました。
現在祀られてたり人形にもなってますが、三国志の関羽みたいに長い髭を蓄え緑色の衣装に黒い冠をかぶり剣を持って大きな目で睨んでいる人形みたことありませんか?
端午の節句には鍾馗様の絵や人形を飾るという風習(?)もあるので、見たことある人も多いんじゃないかなと思います。
日本では平安時代末期から鍾馗様の信仰がみられ、本田忠勝、前田利家などの旗や陣羽織にも描かれています。
鐘馗=勝機に掛けていたとかなんとか。
ちなみに愛媛県の松山市には鐘馗寺というお寺があるそうですよ。
能の演目にもなっています。
鬼月
今作でしょっちゅうでてくるキーワード『鬼月』。
陰暦の7月とも言っていました。
これはもうざっくり言ってしまえば縁起の悪い日、期間ということです。
鬼月は中華圏(台湾、香港、中国など)で旧暦の7月を指す言葉で、どう縁起が悪いのかと言いますと、この期間は「鬼門」が開き、亡くなった人々の霊がこの世に戻ってくると言われています。
しかし地獄の門も開くと言われており、良い霊だけじゃなく悪霊もこの世に戻ってくると信じられています。
鬼月には絶対にしてはいけないタブーがあり、以下のような行為は避けられます。
1. 水辺に近寄らない
2. 病院に行かない
3. 家や車を買わない、引越しをしない
4. 夜中に写真を撮らない
5. 夜中にベランダに服を干さない
6. 夜中に口笛を吹いたり、壁を叩いたりしない
7. 後から肩を叩かれたり名前を呼ばれても振り返らない
8. 外で壁にもたれかかったり、壁にもたれて休憩しない
9. 最終の電車やバスに乗らない
これらのタブーを破ると悪霊に取り憑かれる言われています。
今作観るときはこのタブーを頭に入れておいてください。
そうすると「あれ?」って違和感を感じるところがでてきますから。
おまけ:もっともっと粽邪3(縄の呪い3)を楽しむための用語解説
作中にいくつか謎の言葉がでてきています。
これらは知らなくてもそこまで影響しないのですが、知っておけばさらに面白く観れる…かもしれませんw
クマントン
クマントンはタイのお守りで、その名前の意味は「黄金の男児」を意味しています。
なぜ黄金の男児なんていう名前がついているかと言いますと、それは元々、胎児に金粉を張って作られていたからです。
実際の胎児に金粉を張って作るって…どういうことなんですかね…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
現在はもちろん実際の胎児は使いませんし使われていません。安心してください。
でも人形としては残っていますし、お守りとして大切にされているようです。
ググるとかなり不気味な像であることがわかると思いますが、この効果というのが強烈らしいです。
魅力?魔力?不可抗力?ま、そんなレベルの恩恵があるとかなんとか。
災いから守ってくれたり、商売繁盛、金運アップ、さらには開運までもあるようです。
最近うまいこといかないなぁって人はクマントン買ってみるのもいいかも??
クマントンのおかげでお金が稼げました!
クマントンをもったおかげで交通事故にあいません!
クマントンを購入したら今までモテなかった僕が急に美女にモテモテに!もうクマントンなしの生活は考えられません!
みたいな効果があるとかなんとか…。
信じるか信じないか、あなた次第です!
ちなみに昔のクマントンの作成方法はなかなかえっぐいので興味ある方はググってみてください。
魁罡(かいごう)を帯びる
主人公グアンユーについてジアミンの師匠は「全陰半陽で魁罡(かいごう)を帯びる」と評していました。
魁罡(かいごう)とはなんでしょうか?
魁罡(かいごう)は干支の一種です。
干支って、ねうしたつみ…っていうまさにそれです。
12支しか知らない人が多いと思うんですが、干支っていうのは十干(じっかん)と12支の組み合わせの1部なんですね。
六十干支(ろくじっかんし)と言って全部で60通りあるんです。
で、この魁罡(かいごう)なんですが四柱推命において、特別な意味を持つものなんです。
どういった特徴があるかと言いますと、
・強い意志がある
・独立心がある
・リーダーシップがある
・エネルギッシュでパワフル
・怨霊も逃げ出すほどの強烈な運気
こういうのを持ってると言われています。
非常にパワフルがゆえに荒波にもまれるような人生になる人も多いとか。
スポーツ、ビジネスの世界でも成功している人はこの魁罡(かいごう)を持つ人が結構いるそうですよ。
これをふまえて主人公グアンユーをみてみると、なるほど確かに!と思わざるを得ません。
強い意志があり、独立心もあり、パワフルでエネルギッシュで、怨霊すらはねのける強運。
まさに魁罡(かいごう)って感じです。
粽邪3(縄の呪い3)感想
相変わらず鍾馗様の化粧がかっこいいんすわ。
台湾ホラー映画における最強のカード『鍾馗様』
出てくるだけで絶対に負けない感がやべぇんです。
とにかく台湾ホラーは『鍾馗様』を覚えておけばだいたい話は通じるまであります。(ほんとか?)
3がちゃんと2の続編として描かれているので2の主人公だったジアミンもでてきますし、しかもしっかり成長してて一人前な道士になっています。
ガリガリのお師匠様もふとっちょの兄弟子も出てくるし、そこはもはや実家のような安心感w
そして今回の敵も2で出てきてた悪鬼というのも設定が理解しやすくて助かりましたね。
元々悪鬼は7人の魂と身体を使って現代に復活?受肉?することを目的としていましたが、2では結局ジアミンに憑依した鍾馗様により倒されました。
しかし今回はこのことでさらに鍾馗様への恨みが増してもりもりにパワーアップして鍾馗を絶対に許さないマンと化してます。
粽送りの儀式をする道士がいる限り、鍾馗になる者はでてきますから、悪鬼は鍾馗になりえる道士を片っ端から始末していく気マンマンなんです。
敵の目的が分かりやすいのは映画の中に入り込みやすいから個人的にポイント高め。
さらに生贄が『7人』になることを防がなくてはいけないので、徐々に犠牲者が増えていく展開は結構ドキドキできました。
で、今作の特徴に主人公のパルクールという設定があります。
まあ特徴というほどしょっちゅうしているわけじゃないんですが、このパルクールが観客への一種のメッセージになっているように感じられました。
夢を持つこと、それが天命とか運命とかそういうものだとは限らない、けれど諦めることもないんだよ、みたいなね。
このあたりは実際に観た人によってちょっと感じ方が変わるかもしれませんけど。
それから今作の恐怖演出なんですがいくつかのジャンプスケアシーンはちょっとだけあります。
でもタイミングとか想定の範囲内なのでホラー映画を見慣れている人には物足りなさを感じるかもしれません。
怖さレベルは2と同じくらいと考えて良いと思います。
主人公グアンユーの悩みとか葛藤とか、父親との関係など内面的な部分を描くシーンがやや多めだったので、ストーリー性を重視している人、主人公の成長を楽しみたい人は結構ツボるかと思います。
クライマックスの悪鬼との戦い、それからエンディングもかなり良かったんですが、ちょっと無理やり感があったような気もします。
詳細は伏せますが、なんとなく無理やり若者への理解を示しているみたいな…。
あと、冒頭からちょっとよくわかんないおばさんがいたりして、そこらへんは説明が欲しかったですね。
ま、でも全体的に評価すれば、台湾の古い風習が作品に神秘性を持たせているし、2よりは感情移入もしやすいし、楽しめる作品でしたね。
しっかり見どころもありますので2よりも僕はおすすめします!
もし観るときは必ずエンドロールも最後まで観てくださいね!
まとめ
というわけで粽邪3(縄の呪い3)の紹介と感想、ついでに用語解説もしてみました!
まず間違いなく続編作られると思いますし、2から3でのレベルアップが凄かったので、4もきっと楽しめる作品になるのではないかと予想します。
粽邪の2と3はNetflixで配信中です。
ぜひご覧になってみてくださいね!