今回はNetflixオリジナルアニメシリーズのヴァンパイアイン・ザ・ガーデンのネタバレ感想となります。
最近ネトフリの新作が多すぎてなに観ようか迷っていて、次はラブ、デス&ロボットにしようかなーなんて思ってたら「ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン」という未チェックのアニメが…。
なんか良さげ(ヴァンパイア好き)だし、たった5話だから観てみようと思ったらいつのまにか観終わってました(汗)
眠かったとかつまらなかったとかそんなチャチな理由じゃないんです。
めちゃくちゃビシビシ心に刺さりまくって感動しまくりで涙ぼろぼろな神アニメだったんです(T_T)
ストーリーがペラいとか終わり方が酷いとか言う人もいますが断言します。
このアニメは素晴らしい作品であると。
・潘めぐみと小林ゆうの演技に脱帽
・引き込まれる世界観
・映像美にクオリティの高いアクションシーン
トレーラー
重要登場人物紹介
モモ
主人公。
人間の女の子。14歳。
親の言いなりに生きてきたがあることをきっかけに街から逃げ出し、楽園を目指す。
叔父を容赦なく車で轢く(笑)
フィーネ
ヴァンパイアの王女。
昔、1人の人間を愛し、失ってしまったことから人間との闘争に関わらなくなっていた。
楽しいもの、美しいものをこよなく愛す。
ノバラ
モモの母親であり軍の司令官。
子離れできない。
クボ
ノバラの弟。
剣術に優れた特殊部隊(?)のリーダー。
逃げ出したモモを追跡する。
昔、ヴァンパイアと愛し合ったことがある。
アレグロ
ヴァンパイアの国の部隊をまとめている。
フィーネを愛している。
モモと逃げ出したフィーネを追いかける。
ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデンあらすじ
人間とヴァンパイアが100年以上争っている世界。
人類は戦いに破れ地球上から居住区をほとんど奪われ、生き残った者たちは小さな都市を築き光の壁で身を守りながら暮らしていた。
都市は生存圏を奪還すべくさらなる戦争の準備を常にしており、市民は軍人の監視下の元、貧困生活を強いられていた。
かつて人間も愛していた音楽などの芸術はヴァンパイアが好むことで人間がそれを愛することは禁忌とされ、音楽を聞くことさえ許されなかった。
主人公のモモはなぜヴァンパイアと共存できないのか、なぜ音楽や歌を楽しむことさえ許されないのかと1人苦しんでいた。
光の壁で守られていた都市にまでヴァンパイアたちが入り込み、戦火は広がる一方。
モモはもうこんな世界にいたくないと1人涙する。
そんなとき、かつて1人の人間の女性を愛したヴァンパイアの王女フィーネと出会う。
「来い!私と一緒に。」
フィーネの力強い言葉にモモは今の世界から逃げ出すことを決意する。
その昔、人間とヴァンパイアが仲良く共に暮らしていたという「楽園」があった。
2人は自分たちの居場所を求め「楽園」を探す辛く険しい旅を始める。
ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン感想
いやぁ、本当にいい作品でした。
5話ということでかなり駆け足感はあるのですがそれでも十分背景も理解できるように作られていますし、細かい設定について気にしてしまう人にはツッコミどころが多いようですが、個人的にはなんの問題もありませんでした。
潘めぐみと小林ゆうの演技に感謝感動
まず主演の2人の演技力の高さに脱帽です。
特に潘めぐみはやばい(小学生並みの語彙力)
ストーリーで感動することは多々ありますが感情揺さぶられる演技で心鷲掴みにされたのはこれが初めてかもしれません。
予告編だけみてるとバトルアニメなのかな?戦いばかりクローズアップされていますが真の魅力は主演2人の演技力です。
本当に2人に感謝したいくらい素晴らしい演技で、モモの声を担当した潘めぐみの細かい喜怒哀楽の表現には驚きでした。
フィーネの小林ゆうも力強い演技で本当に素晴らしかった。
モモの成長
さて物語の感想ですが、物語の軸はモモの成長です。
モモは司令の娘でありまさに鳥かごの鳥。
言われたことしかできない、この暗い世界を死んだように生きる、そんな女の子ではあったんですがフィーネとの旅で非常に強く成長していき、その姿は非常に心を震わせてくれました。
1話でヴァンパイアの巣に入り探しているときに子供のヴァンパイアと出会います。
まだ幼いとはいえヴァンパイアは寿命が長い上に非常に強力な力を持っています。
それをわかっていながらモモはヴァンパイアを殺すことができませんでした。
しかし4話では自分とフィーネを危険に晒す子供の姿をした狡猾なヴァンパイア相手に躊躇なく刃物を突き刺し倒します。
また最終話では母と対峙し、逃げ出すことをせず自らの意思で決別し、自分が進むべき道を歩みだします。
監視、管理された中では自らの意思を貫くことはおろか、その行動すら起こせず涙するしかなかったモモが監視社会と管理者の母と決別する様は心にぐっとくるものがありました。
フィーネの愛
フィーネは愛していた女性を失ってから心に穴が空き、女王として戦場に立つことはなんの興味もなくなり、モモと同じく死んだように行き続けているだけでした。
最初は愛した女性と容姿が似ているというだけで心に空いた穴を塞ごうとモモを利用していたフシがありました。
しかし旅を続けていくうちに絆が深まり強い友情(というより愛情に近いもの)がフィーネの中で育ち、心からモモを大切に想うようになっていきました。
1話でモモに向かっていったセリフ「お前はこんなところで死んだように生きることを望むのか!?」というのはまさに自分自身に言っているようで、フィーネ自身も自らの生き方にずっと悩んでいたのかもしれません。
モモとの旅はそんなフィーネの心を暖かく包み込み、死んだような心は生き返り、血まみれになりながらもモモを何度も助けました。
1人の方が誰も傷つけないから気が楽だとモモに話していたフィーネが最終話では必ず2人で楽園に行こうとまで言っちゃうんです。
もはやこれを愛と言わずになんと言うのでしょうか(T_T)
どちらも追われる立場なのに
モモは母である司令官ノバラやその弟であるクボ、そして軍から追われ、フィーネは王女としての責務を果たせと国から追われます。
2人の行く道はどうあっても辛く厳しいものになるはずなのにモモとフィーネはまるで意に介さない。
彼女たの目には明るい未来しか見えていないからなんですよね。
後ろ(過去)ばかり見ていてもなんの希望も見いだせないけれど、自分たちが望む世界は歩んだ先にあると確信があって進んでいく。
例え道中にどんな辛いことが待ち受けていても、そんな障害は必ず乗り越えてみせるという固い決意は暗い夜道に差す一筋の光のようで、2人はまっすぐにその光に向かい歩き続けます。
後ろからは追手が、前には厳しく険しい大自然があり、過酷な道なはずなのに自然と笑顔になってしまう2人の旅路はあまりにも楽しそうで観ている方もワクワクさせてくれます。
母ノバラは本当に毒親か?
まず僕の考えではノバラは毒親ではあるかもしれませんが心底モモを愛しています。
愛しているからこそ支配下に置きたいんです。
子供を親の所有物と考えている親はよくいます。
またノバラは司令官という軍の中でもトップの立場にいます。
役職的にも深から、同僚から、上官から見られる立場なんです。
だからこそモモに対して厳しく行動しなくてはならないし、モモにもそれを理解してほしいと思っています。
ノバラはモモに「本当に私がこんなことしたいと思っているの?」と涙ながらに尋ねます。
このセリフは母であるノバラの本音が強く現れているセリフでありシーンです。
行動の理由が意味不明とか感想を書いている方もいましたが、いやいや、わかり易すぎるくらい母親しているじゃないですか。
愛しすぎて大切にしすぎているからこそ自分が壊れかけていることにすら気付け無い。
モモが部屋から逃げ出した後、軍から報告が来ます。
その瞬間に涙は止まり司令官としてのスイッチが瞬時に入るんです。
こんなオンとオフを瞬時に切り替えるような生活をしつづけていたらそりゃ心も壊れますよ。
モモからしたら酷い親かもしれませんけど、ノバラはもうモモの意思を尊重するほど心に余裕がなくなっていたんでしょう。
だから支配下においておきたかった。
ノバラは逃げ出したモモを司令部で待つのではなく追いかけ続けます。
司令官の娘が軍から、街から逃走するなんてことは自分の立場的にも危ういものだし許されない。
それと同時に心配でしょうがない。
鳥かごの中で生きてきた鳥は弱いから逃げ出したら早く捕まえなくては命が危険。
自分自身を守るために、モモを心から愛しているから、この2つがノバラの行動理由となっているわけですね。
都市に住んでいるとき、自分に絶対服従させていた母ノバラは娘モモに対して威圧的に命令します。
街から逃げ出す前のモモは確かに弱い。
だから母ノバラの言うとおりに生きてきたし、ノバラもモモの言うことを聞く姿勢がどこか気持ちよかったのかもしれません。
ノバラはこう言います。
「お前は弱い。世界の理から外れて生きていけるはずはない。」
「本当に私がこんなことしたいと思っているの?」
非常に印象深いセリフです。
子離れできていない親臭がこれでもかってくらいプンプン漂ってきますね。
娘モモはまだ14歳。
母からしたらまだまだ幼い子供であり、守らなくてはならない存在という認識なんです。
だから親の言うことを聞いておけば安心と考えています。
安心するというのは言うことを聞くモモではなく、大人しく自分の言うことを娘が聞くから自分が安心するんです。
けどノバラ本人はそれに気づいていない。
これは毒親といえばまあ確かに毒親かもしれません。
でも親は子供の幸せを願うもの。
外の世界はヴァンパイアが命を狙ってくる危険な世界で人間が生きるのには厳しすぎる冬の世界。
手元においておきたい、自分の管理化においておけば命の危険も餓死する危険も限りなく低いとなればノバラの気持ちもわからんでもないです。
最終的にはモモは母ノバラと決別しました。
子供はいつのまにか大きく成長しているものです。
フィーネとの逃避行がモモ【本来の強さ】を引き出し、さらに自分の人生の目的も見出すことに成功したものだから、ノバラにとってはまさに捨てられたような感覚だったかもしれません。
本来親は子供の成長を見守り、徐々に子離れをしていき、自分自身の人生を歩む子供を遠くから見守るようになるんですが、ノバラは母としての役割と父としての役割を同時にこなさなくてはならず、さらに軍の司令官としての立場も守らなければいけなかった。
子供が成長していることに気付けなかったんですね。
こう考えるとノバラは単純に毒親と言えるのか、なかなか難しいところだと想うし、こういう世界の被害者でもあるのかもしれないと想うと少しかわいそうな気もします。
ラスト考察
フィーネが死にはしましたがモモはヴァンパイアと人間が共に平和に暮らせる理想郷を見つけ(作った?)そこでヴァンパイアとの子を産み育てている描写が描かれ終わりました。
このラストを不満に思っている方が結構多かったようです。
軍のやつらはどうなったんだ?ヴァンパイアたちはその後どうなったんだ?楽園はいったいどこにあった?
などのことを気にする感想を多く目にしました。
僕はラストに関してはあれこそがベストな終わり方だと思いました。
ヴァンパイアにも人間にも欲深いやつら、金や権力で動く奴らがいて、逆にそうじゃない人たちも多くいる。
それがモモやフィーネたちなんですがこれって現実世界でも当てはまりますよね。
どこかの国と国が戦争していてもその国民が全員戦争したがっているかといえばそんなわけなくて、なんで平和に暮らせないんだと涙を流す人々も多いです。
むしろそういう人たちのほうが多いような気もします。
だからヴァンパイア・イン・ザ・ガーデンは暗にそんな現実世界を投影していたのではないかと感じました。
深読みしすぎているかもしれませんけどね。
昔ドラえもんも言ってました。
どっちも自分が正しいと思ってる。戦争なんてそんなもんだよ。
この作品ではラストの時間でも戦争はきっと終わっていないのでしょう。
もし終わっていたらもっと違った描写になっていたのではないかと思います。
戦争は終わらないけどモモのように人間とヴァンパイアが仲良く平和に暮らせる世界がいいと考える人々が増えて求めたから、モモの見つけた(作った?)楽園に集まっていったのではないかと。
だから世界としてはなにも変わっていないのかもしれないけど、平和を望む人々が少しずつ明るい未来へ向けて行動をし始めた希望に満ちた終わり方だったと思います。
やっぱ良いラストだと思いますよ。うん。
まとめと評価
こんな長々と感想を書いたのは初めてかもしれません。
それほど僕の心にどストライクなアニメ作品でした。
穏やかな暮らしを望む者たち、異種間(人種差別)を乗り越えた友情・愛情、親子愛とはなにか、などなどテーマが散りばめられながらもうまくまとめられているファンタジー作品。
僕の評価はもちろん5つ星!!
ファンタジー好きは観て損は絶対ないと思うし、異種間(人種間)の愛や友情がテーマのものが好きなら、それから声優の演技が作品の評価に繋がる人は絶対オススメのアニメです!
作品情報
作品名
ヴァンパイアイン・ザ・ガーデン
英題
Vampire in the garden
監督
牧原亮太郎(『ハル』、『屍者の帝国』)
助監督
田中洋之(『進撃の巨人』)
キャラクターデザイン・総作監
西尾鉄也(『人狼 JIN-ROH』、『NARUTO-ナルト-』、『スカイ・クロラ』)
美術監督
吉原俊一郎
アニメーション制作
WIT STUDIO
キャスト
潘めぐみ:モモ
フィーネ:小林ゆう